オーナーに感謝している毎日

2011-10-31

 俺が妻と出会ったのは、お互いに大学四年の時だった。場所はバイト先の、旨いことで有名なラーメン屋だ。
 俺達は偶然に大学は別だがバスケ部に所属していたので話しはあった。
 また、なぜこのラーメン屋でのバイトを選んだのか、と言う価値観の部分も一致する部分が多かった。それは、初めの動機として“賄いで旨いラーメン”を喰えるかも知れないと言うことと、仕事をしているうちに店のオーナーの考え方に共感を覚えていった、と言う二つの部分が全く同じだったのだ。
 俺たちの仕事が終わる定時は23時だったが、実際に店のかたづけをしてから、翌日の準備をし終わるのは深夜の1時を過ぎることもしばしばあった。オーナーはもう帰れ、と言うのだが何となくオーナーと一緒に仕事をすることに心地よさを覚え、ついつい居残りをしていたのだった。
 二人とも歩いて帰れるところにアパートがあったので、帰りに良く居酒屋で一杯飲みながら、いろいろなことを話しあった。
 店のオーナーに人としての一つの理想像を描いていたり、ラーメン屋をやりたいなどと言いあうようにもなった。
 こうして、俺たちはごく自然に恋愛関係になったというわけだった。
 そして、将来を誓い合い、二人でラーメン屋をやろうと決め、ある日オーナーに正式に弟子入りさせて欲しいと申しれた。勿論、二人で店をやると言うことも伝えた。
 オーナーは明日まで時間をくれ、と俺たちに言い、閉店の作業を終えた俺たちに早く帰るように言った。
 翌日、俺たちは期待半分と、そうではない部分半分の気持ちで店にいき、開店の準備を全ていつもの通り完璧にやった。
 開店三十分前、オーナーが話しがあるといい、カウンターの席に座らせられた。
 オーナーは「お前たちの気持ちは良く判ったし、お前たちがどういう人がらなのかも仕事を通じて良く判っているつもりだ。だから、俺としては受け入れる用意はある。ただし、一つだけ条件がある。二人の御両親に全てを話し、二人の仲と俺の仕事で独立することを了承してもらいなさい。この事について、俺に出来ることがあれば言ってくれ。いつでも手伝う用意がある」と、ここまで言ってくれたのだ。
 その後、俺たちは両家の両親を説得するために全力を尽くし、四人の親たちに店に来てもらい、オーナー自慢のラーメンを食べてもらたりという努力をして、卒業までにとうとう俺たちの希望を認めてもらったのだった。
 ただし、オーナーが完璧と言うお墨付きをもらえるまでは、絶対に店を辞めることは認めないし、そうなったら各自の家の敷居をまたぐことは許さないと言うことだった。
 あれから五年、ついに俺たちはオーナーのお墨付きをもらい、後輩を育ててから、独立をしたのだ。
 あの時のバイト先の彼女が、今ではお互いに人生を賭けたパートナーとして、互いに支え合って生きているのだ。
 こんな出会いもあるのだなと、今更思い、オーナーに感謝している毎日だ。

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